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第一章・15
からかわれているのだ、と暁斗は感じた。
それとも、試されているのか。
そこまでの意気地はないと、たかをくくっているのか。
挑むように暁斗を見ていた昴の瞼が、軽く閉じられた。
ここまで挑発してくるとは。
魅せられていたのは、昴ばかりではない。
初めて彼に会った時、その美しさに震えた。
上流階級の人間にどこかで持っていた劣等感を、簡単に乗り越えて心に滑り込んできた美貌。
綺麗な人間なら、いくらでもいた。
だがそのような者たちは自らの美しさにばかり気を取られ、見た目を磨くことに頓着していた。
昴は違う。
美しい中に、気高さを持っている。
藤原家の人間としての誇り。
その内面から、輝くばかりの美しさを放っている。
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