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第一章・19
「私は、もう寝ます」
そう言う暁斗の声は、少しかすれているようだった。
「昴様もお休みになられますか? 御一緒に」
その言葉の裏に、何があるかが解からない昴ではなかった。
枕を並べてぐうぐう眠ってしまう前に、一体何が起きるのか。待っているのか。
怖い。
キスより先のことなど、知らない。
まだ幼い頃、保健体育で学習したことはある。
だが実践となるとそれはまた別の話で、しかも暁斗とは男同士なのだ。
それでも、不安より好奇心の方が勝っていた。
何より、暁斗ともっとこうやって一緒に居たかった。
先に歩いて寝室へ入る暁斗について、昴も中へ入った。
昴の部屋に比べれば簡素な寝室だが、不思議な香りがした。
暁斗の焚いた、香だろうか。
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