20 / 193
第一章・20
ベッドに、暁斗が腰掛けた。
同じように横に座る昴を抱き寄せ、髪を撫でて鼻先を首筋に擦りつけてきた。
「馬に鼻を擦りつけられたことはあられますか?」
昼間、尋ねられた言葉だ。
何だって、今頃そんな事を言ってくるのか。
昴の返事を待たずに、暁斗は話を進めた。
「馬は匂いで相手を探ります。馬に匂いを嗅がせると、馬を安心させる事ができるのです」
「柏も、僕の匂いを嗅いでいるのか? 安心した?」
首筋を鼻先で撫でた後、そっと唇を落として暁斗は囁いた。
「安心しました」
ともだちにシェアしよう!