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第二章・5

「……暁斗も、触りたくなるのかな」  この僕の肌を晒しておけば、ついふらふらと腕を伸ばしてくるだろうか。  そして。 「そうされたら、やはり気持ちいいのかな」  いやらしい司書に触れられれば気味の悪さしか残らなかったが、暁斗に触れられれば、またあの蕩けるような快感を覚えるのだろうか。  とくん、と胸が鳴った。  暁斗。  あれから、ごく普通に接している。  体を重ねて翌日、共に馬で駆けてからその後、ただの執事として僕に仕えている。  あぁ、でもあの話し方、あの身のこなし。あの笑顔を思い出すと、どきどきしてくる。  ひとりでに甘いため息が口をつき、じっとしていられなくなる。  体が火照り、のぼせあがってしまいそうだ。  昴は湯からあがると、丁寧にゆっくり体を拭いた。  その、はやる気持ちを抑えるように。  今にも駆け出したい思いを、鎮めるように。  そして、ゆったりとしたポンチョを体に纏わせ、執事の間へと降りて行った。

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