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第二章・6

 薄暗い室内の窓辺に、暁斗はいた。  何を考えているのか窓際にソファとローテーブルを引っ張り出し、そこで一献傾けている。  テーブルの上にはビールの他に、大皿に盛られたミートボールが。  そして、野草が数本グラスに活けてある。 「何をしているんだ?」  昴の不思議そうな声に振り向いた暁斗は、手にした杯を掲げて見せた。 「これは昴様。月を、愛でておりました」 「月を?」  暁斗が体をずらして空けた場所に、昴は腰掛けた。  昴は、窓から天を仰いだ。  煌々と輝く真円の満月は、確かに美しい。  だがしかし。

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