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第二章・7
「この山のようなミートボールと、雑草は何なんだ」
これは、と暁斗は照れ臭そうに微笑んだ。
「団子よりミートボールの方が、ビールに合いそうだったので。花も、リンドウやススキがあればよかったのですが、季節が違いますので」
ふうん、と昴はミートボールをひとつ取って口に運んだ。
中秋の名月には、藤原家も大々的な宴を開く。
だが、そうでない時の満月を特別に見る暁斗はちょっと変わっている。
もぐもぐとミートボールを頬張る昴に、暁斗が小さな杯を寄こしてきた。
「昴様もいかがですか。一口だけ」
「うん」
口の中を清める程度に、昴は酒を含んだ。
そう、自分でも酔う気はない。
今夜は素面で暁斗を、自分を試してみる気でいるのだから。
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