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第二章・9

「どうなさいました」 「今日……、図書館の司書に、この腕に触られた。気持ちが悪かったんだぞ?」 「それは災難でございました」 「まぁ、こんなに美しい腕なら、触ってみたくもなるだろうけど」 「そうですね」 「君も……、触りたくはならないか?」 「触って欲しいのですか?」  意地悪な暁斗の返事に、昴は違うと大声をあげたくなったが、ぐっと堪えた。  今夜は、意地を張ってはいけないのだ。  意地を張らなくても、暁斗に触れられると気持ちが悦いのか試しにきたのだから。 「触っても……、いいよ」  何とも素直でないことだ、と暁斗は心の中で笑っていた。  先程から、やたら腕を動かしていたのは、俺に触れて欲しかったわけか。

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