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第二章・10
「図書館の司書というと、あの小太りの髪の薄い男でございますね?」
暁斗は、そう問いかけながら昴の手を取った。
「うん……」
「それはさぞ、気分が悪かったでしょう。私が清めて差し上げます」
暁斗は昴の腕をするりと一撫ですると、その手の甲に口づけた。
「あ!」
まさか、キスしてくるなんて!
これは想定外、と慌てる昴を置いて、暁斗はその指を咥え込んで吸い、指と指の間をじっくりと愛撫する。
その白い腕を両手で撫でさすりながら、舌を伸ばして這わせてくる。
キスを落とし、舌で舐め、どんどん上へと昇ってくる。
昴は、されるがままになっていた。体が次第に火照ってゆく。
嫌じゃない。
気持ち悪くもないし、不愉快でもない。
暁斗にこうされるのは、悪くない。
ただ、少し怖い。
どんどん僕の体の中に、心の中に暁斗が入り込んでいっぱいにしてしまうのが、少し怖い。
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