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第二章・21
「暁斗……」
「何ですか?」
ほぅ、とまだ興奮の冷めない熱い息を吐いて、昴は切れ切れに囁いた。
「そのうち、僕も暁斗のものを、飲むことが、できるようになるかな」
「そんな事はさせられません。私が好きでやったことです」
「暁斗は、あんなものを飲むのが、好きなのか?」
「昴様のものだから、飲んだのです」
そこで、昴は暁斗の目を覗き込んできた。
雲が月にかかったのか、わずかに光が弱まった。
「なぜ、僕のものなら飲めたんだ」
それは、と考え、暁斗は先程の昴の言葉をそのまま返した。
「私は、昴様のことが好きなのでしょうか」
は、と見つめてくる眼が円くなる。
月が陰ってくれてよかった。
こんな事、明るい中で言えたもんじゃない。
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