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第三章・6

 素振りを続けながら、昴の方を見て微笑む暁斗に笑顔を返した後、ソファに座り込んでそれを眺めていた。  済むまで、待つつもりだった。  まじまじと暁斗を見ていると、いつもなら気にも留めないことが心の中まで入ってくる。  暁斗の剥きだしの上半身には、古傷の痕が残っているのだ。  男の勲章、といえば聞こえはいいだろうが、それはひどく昴の心に食い込んできた。  痛かったんだろうな。  そう思った時、暁斗の動きが止まった。 「お待たせしました」  タオルで汗を拭きながら、こちらへやってくる暁斗の姿に、苦しいほどの想いがせり上がってくる。  昴は腕を伸ばすと、暁斗の傷にそっと触れていた。 「どうなさいました」 「暁斗、痛かった?」  驚いた眼を向けると、昴はこれまで見たことのないような表情をしていた。  眉根を寄せ、心配そうな顔。  切なげな、眼の色。

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