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第三章・7
同情。
これが、同情というものか。
今までこの傷を見たものは、この傷に触れた者は、みな自分を持ち上げ誉めそやしたものだ。
男も女も、白い指先でその痕をなぞり、カッコいい、などと悠然と笑ったものだ。
その傷を受けた時の痛みなど、考える者はいなかった。
今、初めて傷の痛みを共有しようという人が現れた。
「ええ、痛うございました。今でも時折、疼きます」
そして初めて、暁斗は他人に弱音を吐いた。
愛おしい。
心底惚れる、惚れ抜く価値のある情人。
いや、もう惚れているのだから、惚れ直した、と言った方がいいのか。
「お優しいですね、昴様」
素直に、言葉に出してみた。
優しい、なんて男にかける言葉ではないと今まで思っていたが、これは結構すてきな褒め言葉ではないか。
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