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第三章・8

 優しい、と褒められた昴は、ぽっと頬を染め、ふぃと目線を反らして手にしたぶどうを突き出した。 「僕は、優しいに決まってる。ほら、ぶどうだって分けてあげるんだから」  優しい、なんて。  初めてそんな言葉を他人からもらった。  美しい、とは飽きるほど聞いてきた褒め言葉だが、優しい、なんて。  その内面を、心を褒められるのは初めてだ。  何だか、照れくさい。 「ぶどうですか。ありがとうございます。一緒に召し上がりますか?」 「いいよ」  二人して、初めての心地を味わいながらダイニングに入った。  入るなり、暁斗が唇を合わせてきた。 「んッ! んむ……ッ」  不意打ちのキスに、昴は慌てた。  思わずぶどうを握りつぶしてしまうところだった。  ただ、暁斗はそれだけですぐに唇を離し、あとは軽く羽根の触れるようなキスをした後その眼を覗き込んできた。 「私は、昴様が好きです」 「そっ、そう!?」 「昴様は、私の事が好きですか?」 「まぁ……、好きだけど?」

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