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第三章・9

 その返事にうなずいた暁斗は、さっさとテーブルにパンや酒、アーティチョークやムスカリのオイル漬けを並べてゆく。  好きか、だなんて。  好きに決まってるじゃないか。  ことさら確かめるように訊いてきた暁斗を、不思議に思った。  時々、何を考えているのか解からなくなるのが暁斗だ。  そこもまた、惚れた弱みで神秘的に見えてしまうのだが。    昴の持ってきたぶどうが大皿に乗せられ、テーブルの真ん中に陣取り、暁斗のささやかな夕餉が始まった。  暁斗は寡黙な方なので、もっぱら話しかけるのは昴の方にはなるが、必ずちゃんとした受け答えをしてくれる。  じっくり考え、軽い思いつきや噂話を根拠にしたような返事をよこしてくることはない。  暁斗は、誠実だな。  そんな彼の魅力を感じながら、二人でぶどうを味わった。

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