70 / 193
第三章・11
「実は、今夜は遊郭へ行くつもりでした」
「なッ……!?」
言った途端、暁斗はぶどうの皮を顔面一杯に浴びていた。
「僕と寝た翌日に、妓館へ!? 最低だ、暁斗! 馬鹿! バカばか馬鹿ぁッ!」
手元にあったぶどうの皮を、力任せにじゃんじゃん投げつけてくる。
「まッ、待ってください! 昴様、話は最後まで聞いてください!」
「言い訳なんか、聞きたくない!」
口で言うより手の方が早い、と暁斗は素早く椅子から立ち上がり昴をしっかりと抱きしめた。
「離せ! 戻る!」
「いいから、聞いてください」
そっと耳朶を舐め、軽く噛んでくる暁斗。
熱い息がかかり、昴はもがくのをやめ、ぞくぞくと震えた。
「昴様と寝ても、私は一度も淫を吐いたことはありません。それは解かりますね?」
「うん……」
「ですがやはり、そこは私も男です。出さねば体にも精神にも悪うございます」
「そう、だね」
ともだちにシェアしよう!