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第三章・29

 夕刻現れた昴と共に、暁斗は自室で食事を摂った。  やけによく喋る、昴。  声が時折上ずっている。  意識して、明るくふるまっているのだろう。  交代でバスを使い、寝室へ入る頃になると、逆に黙ってしまった。  緊張が、こちらにも伝わってくる。  ドアを開けた暁斗について寝室に入ると、いつもと違いバラの匂いの香が焚かれていた。 「ふふふ」 「どうなさいました」 「暁斗も、こんな洒落た事ができる人だったんだね」 「昴様が、少しでも楽になられますように」  確かに暁斗の言うとおり、バラの香りは昴をリラックスさせた。  なじみ深い、一番好きな香り。  その中で、この世で最も愛しい人と結ばれるのだ。

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