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第三章・37

 暁斗が用意してくれた朝食をもぐもぐ食べながら、昴の機嫌は悪くなる一方だった。 「……そして、それができるようになったら、今度は抜かずの二発、抜かずの三発とやってみましょう。体位も変えるといいですね。また違った刺激がありますよ。四十八手あるので、いろいろ試しましょう。それから……」  ぶちん、と何かが音を立ててキレたような気がした。 「ちょっと待ってよ! 今の僕の気持ち、ちゃんと解かってるのかな!? とにかく疲れてだるくてたまらないんだ。それなのに、朝っぱらからそんな……エッチな話……ッ!」  まさか暁斗が、こんなにスケベだったとは!  人は見かけによらないもの、と子どもの頃教えてもらったが、今まさにその言葉の意味を身をもって知った。暁斗はむっつりスケベだったのだ!  さすがに突然怒り出した昴に、暁斗は慌てて反省したようだった。 「申し訳ございません! つい、嬉しくて。その、いろいろと、考えてしまいました!」 「嬉しかった?」 「はい」 「僕と一つになれて、そんなに嬉しかった!?」  泣いたカラスがもう笑った、というか、怒った昴がもう笑った、というか。  暁斗の一言ですっかり機嫌を直した昴は、にこにことパンをちぎって口に運んでいる。  ふんふんと、鼻歌さえ聞こえてきそうだ。

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