昴の朝は早い。 　朝日と共に起き出し、朝露の消えない内からバラ園にその姿がある。 　朝露に潤う、僕の可愛いバラの花たち。 　うん、今日も綺麗、と顔をほころばせ、古い花を摘んだり、葉に異常はないか調べたり。 　一通りそれがすむと、昴は3色のバラの花の前で思案する。 　赤、黒、そして、白。 「今日は、これかな」 　そして赤いバラを一つ摘むと、胸ポケットにさして飾った。 　いつの頃からか、こうしてバラを常に身につけるようになっていた。 　バラは僕の誇り。 　それを身につけることで、背筋が伸びる。 　美しいこの僕を、彩ることもできる。 　そして最近では、そのバラの色までもが意味を持つようになっていた。