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第四章・6

 すでに暁斗の部屋へ到着しているのに、自室に戻ろうとする昴の腕を、暁斗は引っ掴んだ。 「今夜は許してくださるのでは?」 「その気じゃなくなった! 放せ!」 「今更それはございません」 「放せ! はーなーせー!」  じたばたともがく昴を仕留めた小鹿のように肩に担いで、暁斗はのしのしと室内へ入った。  手足をばたばたさせて、ぎゃんぎゃん叫ぶ昴は、煩いを通り越して愛らしくさえある。  そのまま寝室へ入ってしまうと、暁斗はベッドの上へ昴を横たえた。  すぐに、上へと被さった。  口でその柔らかな唇を塞ぐと、時間とともに昴はおとなしくなっていった。  耳をかじり、首筋を何度も何度も舐め擦ると、ぶるぶる震えながら小さな声を上げるようになっていった。 「やだ。嫌だ、暁斗。したくない」 「どうしてですか」  体はいい反応を返してくるのに、そむけた顔の瞳には涙が浮いている。  さっきまで、あんなに嬉しそうにはしゃいでいたのに。

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