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第四章・7

 黙って、身を起こした。  ベッドに昴を残したまま、暁斗は夕食の準備を始めた。  床に、カミツレソウの花束が落ちている。  それも拾ってグラスに活け、テーブルの上へ飾ってみた。 (そういえば、花の話をした頃から、急に我儘を言い出したような気がする)  二人分の簡単な支度を整えていると、のそのそと昴が寝室から出てきた。 「暁斗。お風呂、借りるよ」 「どうぞ、ご自由に」  風呂からあがれば、気分も変わっているかもしれない。  そう考えながら、暁斗は瓶詰の蓋をまわした。

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