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第四章・12

 暁斗の首に腕をまわし、昴の方から口づけを求めてきた。  軽くついばんだ後、深くむさぼるとその吐息はバラの香りがした。  あれだけエビをつまんでおきながら、体内からバラの香りを放つとは。  今更ながら、暁斗は昴とバラの花との深い結びつきを味わった。 「ん……っ、ぅん。ふッ、ん……」  密やかな声が漏れだす。  耳に心地よく聴きながら、暁斗は唇を下に這わせ、脇の柔肌を緩く噛んだ。 「あっ、ん」  首を反らせ、うっとりと眼を細めた昴の表情には艶がある。  それを満足げに眺め、二度三度と脇を食み、舐めとった。  甘い喘ぎが速くなる。  体を重ねて間もない頃は、ここを攻めてもただくすぐったいと笑うだけだった。  時間を掛けて、じっくりと慣らし拓いてゆく楽しみが、昴の体にはあった。

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