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第四章・21

 朝食の席で、昴が胸につけたバラの色を確かめた暁斗は、眼を丸くした。  色は赤。  今日はさすがに白いバラだと、信じて疑わなかったのに。  昨晩、あれほど激しく愛し合ったのに、その翌日に赤いバラとは。  赤いバラ。意味は、その気になったら、ね。 「毎日なんて、体が持たないよ」  そんな事を言っては、焦らしていた昴様だったのに。  気が向いたら、お相手してくれるとは。  朝食が終わり、暁斗はそっと昴に耳打ちした。 「いいのですか? 今夜」 「……いいよ」

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