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第五章・3
昼、食事を終えて自室から出た暁斗は、回廊を曲がった所でいきなり昴に出くわした。
こいつは厄介な事に、と考える前に、昴の方が動いた。
「あ・き・と♪」
暁斗の腕に手を絡ませ、ニコニコと見上げてくる可愛い主。
今朝の不機嫌はどこへやら、嬉しそうにはしゃいでいる。
「今夜、暁斗の部屋へ行ってもいいかな?」
これはどうしたことか!
朝の勢いは、綺麗さっぱり消えているらしい。
「何か、良い事でもございましたか?」
「まぁ、ね」
ふふん、と鼻を鳴らす昴が愛らしい。
暁斗は一も二もなく、ぜひお越しください、とこちらも笑顔で返事をした。
その言葉を聞いた昴は、楽しみだな、と鼻歌を歌っている。
人目を忍んで、素早く軽いキスをした二人は、上機嫌でその場を別れた。
互いに、今夜の逢瀬を楽しみにしていた。
昼間会った昴は、こんな調子だった。
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