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第五章・4
業務を終え、広間を横切っていた暁斗は、甲高い声で自分の名を呼ぶ女の姿を見止めると眉を曇らせた。
数名の取り巻きに囲まれながら、その中心で派手に着飾った女。
家庭教師の久保田(くぼた)だ。
文科省の高官を父に持つこの女は、その威光を笠に着てずいぶん好き放題振る舞っている。
正直、暁斗の苦手な女だった。
「柏さま、ご機嫌いかが?」
「おかげさまで」
だが、苦手に感じているのは暁斗の方ばかりで、久保田はこの昴の執事がやけにお気に入りだ。
顔を合わせるたびに、どうでもいい事まで話しかけてくるのだ。
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