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第五章・6
いかがかしら? お味のほどは。
そう尋ねるような眼の色は、自信に溢れている。
暁斗が自分の焼いた菓子を、美味いと褒める声を待っている。
そんな久保田の取り巻きの女たちは、懇願するようなまなざしを暁斗に向けてくる。
どうか、柏様。
柏様、美味しいと。
嘘でもいいから、どうか彼女のご機嫌を損ねないでくださいまし。
暁斗は嘘や誤魔化しは好きではなかったが、自分が救う事の出来る人間を見殺しにするほど冷血でもなかった。
もし正直に不味いと言えば、この高慢ちきな女は怒り狂うだろう。
そして、そのとばっちりを受けるのは周囲の女たちなのだ。
そういう危険を知っていながら久保田の周りで愛想笑いをしているのだから、自業自得ではあるのだが。
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