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第五章・18

 こくり、とひとつ頷くと、昴は暁斗から受け取った杯を傾けた。  一回、二回。そして三回。  言われたとおり、三度に分けて飲み干した。 「これで、私と昴様は死ぬまで。いや、死んでも一緒です」  暁斗の言葉に、くらくらと酔った。  暁斗の酒に、ふらふらと酔った。 「僕より先に死んだら許さないからね」 「はい」    昴は、気が楽になった。  そしてそれは、僕の傍には永遠に暁斗がいてくれるからだ、という事も解かっていた。 「古川の言葉は、間違いです。私は、昴様の他に愛するものはありません」 「藤原の家は?」 「それとこれは、別です」  調子がいいんだから、と昴はようやく笑顔を見せた。  泣いたカラスが、もう笑う。  昴様のこういう所が、俺は好きなのだ、と暁斗もまた笑顔を返した。  美しい主の、美しい手を取り立たせた。

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