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第五章・21
昴の言葉に、これはまさしく初夜なのだな、と暁斗は感じていた。
まるで、生まれ変わったかのような覚醒感を味わった。
「私も、あなたを愛しています。この世の、誰よりも」
藤原家よ。藤原家の、当主様よ。
私はあなたの為ならば、この命いくらでも捧げて見せましょう。
ですが、お許しください。
この世で最も愛する者は、あなたではなくこの昴様なのです。
誰にも言えない秘密を、この日この晩、暁斗は抱えた。
その秘密と共に、昴をしっかりと抱きしめた。
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