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第五章・22

 サイドテーブルには、潤滑剤が置かれるようになっていた。  いつ、昴様が訪ねてきてもいいように。  いつ、この気分屋の主が体を許してくれてもいいように。  我ながら助平になったものだ、と暁斗は苦笑いしながら、ローションを手にとろりと垂らした。  仰向けに寝かせた昴の脚に手をかけると、彼の方から自然にゆっくり開いてくれた。  脚の付け根の近く。  薄桃色の柔らかい部分にジェルを絡めた指で触れると、震えながらも迎え入れてくれた。    片手で性器を弄り、片手で体内を探る。  そうしながら、暁斗はずっと昴の表情を見ていた。  彼は薄く瞼を閉じているので、こちらの様子は解らないはず。  それでも気配は感じるのか、恥じらい声を潜める表情が愛らしかった。 「……ッ、ん。あ、あッ……、はぁ……ッ、んんッ」  首を捩る度に、黒髪が散る。  唇は開けたまま、切ない喘ぎと控えめな声を吐く昴。  本当に、初めて体を重ねるような新鮮さを与えてくるこの主に、暁斗は生唾を飲んでいた。  

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