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第六章・3
やはり、としたり顔で古川は腕を組んだ。
「昴様が旦那様に一言物申してくだされば、あんな計画はたちまち白紙撤回に……」
「もう少し静かに考えさせてくれないかな? 最善の道を探っている最中なんだ」
これはお邪魔いたしました、とそこでようやく古川はその場を去ってくれた。
「はぁ……」
古川の姿が見えなくなり、昴はもう一度溜息をついた。
空はぼんやり花曇り。
物思いにふけるには、確かにいい日和なのかもしれないけれど。
花園の件は懸案事項だが、それを解決する前にしておきたいことがある。
今の昴の『秘密』でもあるのだが。
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