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第六章・4

「暁斗のバカ」  ここにはいない、執事を小さな声で罵った。  10日以上前に、研修で他県へ発ってしまった暁斗。  暁斗に会いたい。  暁斗の声が聞きたい。  暁斗に触れて欲しい。  暁斗が欲しい……。  熱い息を吐き、瞼を閉じる。  口を細く開けて呼吸をしながら、指と指の間をこする。  

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