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第六章・6
「研修は?」
「とどこおりなく終わりました。旦那様にも報告しなくてはなりません」
お父様より、僕に先に会いに来てくれたなんて!
昴はそれだけで、舞い上がってしまった。
「ね、暁斗。今夜、僕の部屋へ来てもいいよ。軽食用意して、待ってるから」
「これはありがとうございます。たまには留守にしてみるものですね」
では夜に、と暁斗は去って行った。
その背中を、昴はぼうっと夢見心地で眺めていた。
(今夜、暁斗と……!)
久しぶりの同衾だ。
昴は自室へ駆け足で戻ると、まずは寝室を整え始めた。
シーツを変えて、バラの香りの香を焚く。
タペストリーも季節にふさわしいものにしよう。
水差しには清水をたたえ、……ローションも用意しておこう。
「そして、お風呂!」
バラのエキスをたっぷり使ったバスタブに、首まで浸かった。
花びらで体をこすり、うがいをして体内も清めた。
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