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第六章・8
「昴様はお料理もお上手ですね」
暁斗はそんなことを言いながらワインを飲み、ぱくぱくと健啖ぶりを発揮する。
「……まだ食べるの?」
そんな事を言う昴を見ると、彼はもう御馳走様を済ませている。
少しすねたような声色と、悩ましげな眼差し。
これはこれは、と暁斗は反省した。
10日以上ご無沙汰だったのだ。早く可愛がってあげなくてはなるまい。
「お風呂は……」
「済ませた。暁斗は?」
「私もこちらへ来る前に、シャワーなら浴びてきました」
それでもよろしいですか、と訊くと、汗臭くないならいい、と返ってきた。
「では、少し早いですが寝ますか」
「……別にいいよ」
昴の意地っ張りな返事に苦笑しながら、暁斗は寝室へと入って行った。
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