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(注)暴力的な表現がこの先あります。苦手な方は飛ばしてください。
夕飯を食べ終えて本を読んでいると、バン!と乱暴な音を立てて扉が開いた。
一つ上の兄、光治だ。
「ねえ、由紀。お前今日部屋から出たでしょう。」
「すみません、本を借りに行きました。」
「何勝手に部屋から出てんだよッ!!」
ドガッ!
光治が部屋に置いてある箱を蹴る。
「正臣さんに見られたんでしょ?お前の姿を人目に晒すなって言ったよね?」
正臣さん、というのは、きっと先程家に来ていた客のことだろう。
下の名前で呼ぶくらい、光治と彼は親しいのだろうか?
そう、ぼうっと、考えていると。
パンッ!!!
乾いた音が部屋に響いた。
光治が僕の頬を叩いたのだ。
「……お前聞いてる?」
「すいません。」
「ほんとに気に入らない。」
吐き捨てるように言うと、光治は僕のお腹や脚を蹴り出した。
こうやって苛立っている時の光治に抵抗ても、何も良いことは無いと分かっている。
少しの間我慢すれば、飽きて部屋から出て行くだろう。
無抵抗を貫いていると、光治は大分落ち着いたのか、部屋から出ていった。
「.......いっ、たぁ.............。」
身体中がズキズキと痛む。
服の下はきっと痣になっているだろう。
耐えるように体を丸めて目を閉じていると、いつの間にか眠りについた。
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