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*正臣side
「坊ちゃん、樋口伯爵からお手紙が届いておりますよ。」
「ありがとう高木。だが、坊ちゃんはそろそろ止めてくれないか?もう坊ちゃんなんて呼ばれる歳ではないよ。」
「はははっ、坊ちゃんがどなたか良いお方を見つけてご結婚なさったら、その時にはきちんと若旦那様とお呼びしますよ。」
「はぁ.......。」
ここ一二年になって、段々周囲からそろそろ身を固めろ、結婚はまだか?と言われることが増えた。
幸い自分は嫡男ではないので、強制的に話が進められることは無い。
それに両親は恋愛結婚だったので、息子が望んだ相手と結婚して欲しいと思っているようだ。
しかし、公爵家の息子となれば、あちこちから縁談話は持ち掛けられるし、そこそこ整った容姿なのも相まって、社交場でご令息、ご令嬢に声を掛けられる機会も少なくない。
樋口伯爵からの手紙は彼の三男を僕の下で働かせて欲しい、という内容だったが、大方そのまま結婚させたいと思っているのだろう。
三男の光治には何度か会った事があるが、中々綺麗な顔をしたΩだった。
ただ、政略結婚の相手としては樋口伯爵の息子はそこまでこちらに利はないし、僕が彼に惚れでもしない限り結婚することは無いだろう。
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