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*光治side
「光治!近衛公爵家のご令息が例の件お受けしますとお手紙を送ってくださったわよ。」
母上が僕に手紙を渡す。
綺麗な筆跡で、正臣さんの誠実な人柄が現れている。
「光治、お前はΩだが、立派な樋口家の男だ。近衛様に迷惑は掛けぬように、しっかり勉強して来なさい。」
「分かりました、父上。」
「始めるのは十日からだそうだ。頑張りなさい。」
「はい。」
自室に戻ると、暫くして母上がやって来た。
「母上、何の用ですか?」
「光治、父上は仕事についてしか言わなかったけれど、分かってるわよね?出来れば正臣さんと結婚出来るように頑張りなさい。」
「分かっていますよ、母上。」
正臣さんは社交場で何度かお見かけした事がある。
とてもカッコよくて、彼と結婚できれば、と思った。
「私の息子には彼がお似合いだわ。」
「ははっ、母上ったら。」
絶対に正臣を手に入れてみせる、そう誓った。
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