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第46話(*)

「……わかる、か……? ハナ」 「んっ……、な、ぁ……っ……ん、っ……」 「指先で、ちょっとかき回しているだけなのに、きみのココがうねっているのが」 「ぁっ、ぁ……っ!」  ココ、と言いながら、中のある場所を掻かれると、ぬるついた愛液が止め処なく滴り落ちるのがわかった。ハナは知らないうちに身体をくねらせながら、時々尾てい骨に当たるテラの逞しい隆起を、埋めてもらえる時がくるのを、息を殺して待つしかなかった。 「おいしそうな音だ。少し指を増やすよ……?」 「ん、ひっ……! ぁ──……っ」  二本、そして三本、と増やされるに従って、後蕾を拓かれる独特の感覚に、ハナは視界に眩い光が散るのを知った。ハナが嫌がって怖がるたびに、テラはいちいち探索の手を止めたが、決して撤退することはなかった。それよりも、さらに深い快感を与えることで、やがてハナが花開いていくのを、楽しみにしているように見えた。 ☆  トロトロに蕩かされた身体をベッドに横たえられたハナは、見下ろしてくるテラの逞しい身体に見惚れた。今まで散々、中を捏ねられ、乳首をはじめとする身体の敏感な部分を指先で愛撫されたせいで、ぐったりしてしまったハナに、テラは少しつらそうな抑揚を抱いた表情で、身体を重ねてきた。  肌と肌が、直接触れることで、信じられないほどの熱が伝わる。ハナが熱いと感じるのに負けないほど、テラの肌もまた、白くて熱かった。  ちゅ、ちゅ、とこめかみや瞼にキスを施されながら、片膝を抱えられる。  そして、ぐっと圧迫感を示したまま、テラ自身が挿入されると、さすがにその巨きさに、下肢が軋む音がするようだった。 「ぁ……!」 「ハナ、力を──……」  抜いて、吐いて、そう、上手だ……、そう言うテラもまた、少し酔ったように耳を赤く染めながら、欲情にまみれ、つらそうにしていた。乳首を弄っていた手の片方が、ハナの中心を慰撫する。熱の集積した鈴口からは、トロトロと挿入中も、ずっと先走りが滴り落ちている。テラがあらかた入った感じがする頃には、もう呼吸が苦しくなりながら、ハナは思わず彼の首に縋った。 「ハナ……」 「んっ、あ、き、もち……い」 「ハナ、ハナ……」  まだ全部は挿入されていないが、蜜壺を抉るようにゆっくりと行き来するテラの巨隆が、目も眩むような悦楽をハナから引き出した。  テラはハナの姿を両手で抱くと、ゆっくりと、だが確実な強さで腰を穿ちはじめた。 ☆  ゆるゆるとはじまった抽挿は、やがて肌を打つ激しさを剥き出しにした。  腰を掴まれて大きく抉られると、中の蜜壺がわなないて、えもいわれぬ愉楽が腰骨の中心を通り、手先足先へと駆け抜けてゆく。 「ぁっ……ぁ、ぁあ──……っ、な、かが、っ……」  ぬじゅ、という音とともに抜き差しされるテラのものが、中のいいところを擦り上げたかと思うと、亀頭だけを含ませて抜かれる。 「抜いちゃ、……ゃぁ、っ……」  哀願するでもなくそうして縋ると、テラはぐっと眉をしかめ、ハナを引き上げて体勢を変えた。 「ぁ──ゃ、っこ、れ……って」 「自由に、動いてみて……」  テラの上に乗る形にされ、自重でテラが、ずぷぷと奥まで挿入ってしまう。そのまま下から緩々と突き上げられると、ハナは汗にまみれた身体をくねらせ、目を半分閉じて、無意識のうちに腰を振り出す。 「あ、あ……っ、ん、はぁ……っ、ぁあ……っ」 「絶景だな……」  テラの視線を感じ、ハナは身体を真っ赤に染め上げた。 「も、ゆ、許し──……」  だが、許しを乞うと、テラは聞いてくれなかった。もっと乱れてみせろと、中まで蕩かされながら、促される。 「ぁ、あっ……! あ! いっ……イき、そ……っ、テラ──ぁあっ……!」  ハナが窮状を訴えると、テラは体勢を変え、今度は左足を持ち上げ、組み敷いた。 「ひぃ、ん……っ! ゃ、ぁぁっ……!」  限界まで引き伸ばされた悦楽のさらに先へと上らされる。ハナは喉を枯らして喘ぎながら、覆い被さってくるテラの胸部を両腕で押し返した。 「ゃ……っ」  やだと言いながら、嫌じゃなかった。  壊されたい。  奪われたい。  抱かれたい。  愛されたい。  テラを、愛したい──……身体を重ねながら、テラを下から飲み込みながら、ひとつになれば、終わるんじゃないかと怖れていた自分を、ハナは手放した。  ずっと運命のアルファを待っていた。  それが、テラで良かった、と今は思う。  バース性のせいで、世界は複雑怪奇になっていたが、それを乗り越えていくだけの力を、きっと人は与えられているのだろう。テラといて、たくさん間違った、とハナは思った。でも、間違った分、後悔した分、新しい道を選び直すこと、正しくあろうとすることができる。生きることが、できる。  アルファでなくとも──オメガでも、できるのだ。  涙と汗でクシャクシャになりながら、テラを見上げると、酔ったような、少し苦しげな色を浮かべた、深い眸とかち合った。刹那、テラがハナを抱き、うなじに顔を埋めた。 「あ……っ」  首筋を、甘噛みされる。

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