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常磐十六弥という男は

TOKIWAグループ代表取締役、眉目秀麗、完全無敵、フェロモン製造機、歩く十八禁、エロテロリスト、俺様何様十六弥様。 周りは俺のことを色々言うが何でもいい。 カレンの夫で、三つ子の父である、その事実があれば肩書きも呼び名も何でもいいのだ。 とりあえずまずは俺の自慢を聞け。 俺の嫁は世界一美しく可愛い。まさにカレンという名前の通り可憐なのだ。出会った頃から変わらない世界を魅了する笑顔と、癖の強い人間の集まる業界でも負けることの無い意志の強さ。そして俺を愛し子供達を愛す姿は誰がなんと言おうとパーフェクトだ。 次に自慢したいのは俺の可愛い息子達。とびきり可愛いのが三人もいる。飛び級で大学を10歳で卒業し、スポーツに音楽に芸術など一通りのことは人並み以上にこなす。流石俺とカレンの遺伝子を掛け合わせただけある。アルビノという先天性のメラニン色素が少ない体質ではあるが、有難いことに至って健康。 まず長男のカエラ。こいつは良い意味で調子がいい。空気を明るい方向に持っていくのが得意で、面倒見も良く頼りになる。誰に似たのかかなりの甘党で、いつか糖尿病になるんじゃないかと少し心配している。 そして次男のサハラ。息子たちの中では一番落ち着きがある。というよりは周りをよく見ている。そのためよく気はきくし行動が早い。目を離すとすぐに至る所で人を甘やかす、生粋の尽くしたがりだ。 最後に三男のレイラ。こいつは天然の人たらしだ。誰の懐にもするりと入っていく。人を惹き付ける力が飛び抜けている。ただ、味方に紛れてたまに変態までも惹き付けているのはどうにかならないものか。 俺は家族が大好きだ。世界一愛している。見た目で愛人が世界中にいるだとか、隠し子の数が三桁だとか言っている奴がいるが巫山戯るな。 カレンを超える人間などいないのに愛人をつくる意味がどこにある?俺の愛情は我が子の三人にめいいっぱい注いでいるから、存在しない隠し子にやる分はない! 全く持って噂なんてもんはくだらない。 「「「ただいまー」」」 遊びに出かけていたのか俺が仕事から帰ったら居なかった三つ子が帰ってきた。別に折角昼過ぎに帰ってきたのに俺をおいて何処で遊んでいやがったなんて思っていない。 「十六弥くんー、外めっちゃ寒かったーーっ」 「っこら、冷てぇな」 そりゃヨーロッパの冬は寒い。寒いのが苦手なレイラは兄二人よりもあからさまに厚着をしてもこもこのくせに、室内で温まっていた俺の体温も奪う勢いで抱きついてきた。 平均身長を余裕で越える俺とカレンの遺伝子がまだ本領発揮していないのか、こいつらは同年代と比べて小柄だ。まあもうすぐ15歳になるからそろそろ成長期もやってくるだろう。 寒い寒いと言い引っ付いてくるレイラが俺の羽織っているパーカーの中に入ってきた。仕方がないので後ろから覆い被さるように抱き締めて温めてやる。こいつはすぐに風邪を引くからな。 「えーレイラいいな暖かそう」 「まだまだ寒いな、この時期は」 そう言いつつ俺の座るソファの両隣に座ってくるカエラとサハラ。家族全員がゆったりと座っても余裕のあるソファで、わざわざ引っ付いて座ってくるのが可愛くないわけが無い。 「今日仕事終わるの早かったんだね」 「まあな。なのにお前ら居ねぇし」 「ちょっと街でぶらぶらしてた」 別に早く帰るとは言っていなかったし、俺が帰ってまだ一時間くらいしか経っていないが。 「十六弥くん俺達居なくて寂しかったんでしょ〜!」 「お前と一緒にすんな」 「!!ぅあッやめてやめて!!ぁぁあぁあっ、ひっ!ンんーーーっ!!!」 あながち間違ってはいないがレイラのにやついた顔がムカついたので弱点の脇腹を思いっきり擽ってやった。逃げようと暴れるが自分で俺の腕の中に入ってきたんだ。ざまぁみろ。 「っひ、っひ、、し、死ぬかと思った、、」 一通り満足するまで擽ってから解放してやった頃には涙目で息も絶え絶え状態だった。 「よかったな、体温まっただろ」 「むーーー!!!」 見上げるように睨みつけてくるが、力を入れていない今も抜け出さずに俺の腕の中にいるのが可愛い。ついもう一度擽ってやろうかという衝動に駆られたが、それを察知した両隣からストップがかかったので勘弁してやろう。 あぁ、今日も俺の息子たちは可愛いな。早くカレンも帰ってこねぇかな。 毎日家族に幸せをもらっている十六弥のお話。

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