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ボクはティノ!

こんにちは!ボクの名前はティノだよ! ボクは“ときわ”っていう大きなお家で暮らしている。たくさんの人が暮らしていて毎日みんなが遊んでくれるよ! でも、ボクが一番遊びたいのは“れいら”。ボクの毛色と似た髪の毛の白くてふわふわしたれいら。れいらはボクの飼い主さんなのだ。 ・・・でもれいらとボクは離れて暮らしている。れいらはいつもはこのときわのお家から遠い、森の中に住んでいる。ボクも初めはそこに住んでたんだけど、向こうだとボクが自由に遊び回れないからってこっちに引っ越したんだ。 たしかにここではボクはいろんなところに行ける。遊んでくれる友だちもたくさんいる。でも、れいらがいないのはさみしいな。 でもねでもね!今日はれいらがボクに会いに来てくれる日なんだよ! 「なんだティノ、今日は随分とソワソワしてるな」 「わんわん!」 「もうすぐレイラ帰ってくるぜ」 大きな手でわしゃわしゃと頭を撫でてくれるこの人は“あづや”。れいらの家族のひとりなんだって。だからボクの家族でもある!あづやはよく一緒に遊んでくれるしおやつもくれる。ボクはあづやも大好きだよ。 「!」 今、まだ遠いけどれいらの声が聞こえた!それに“らんちゃん”の声も!らんちゃんはね、れいらのことが大好きだからいつも一緒にいるんだ。ボクも負けないくらいれいらが大好きだけどね! 「わんわん!」 「ティノ〜!!」 「相変わらず元気だな」 玄関で待っていたらすぐにれいらとらんちゃんがやってきた。嬉しくて自然としっぽをぶんぶんと振ってしまう。嬉しい!れいらに会えた!! 「もぉ〜今日も可愛いな〜!!」 「わんわん!(れいら好き!大好き!!)」 ボクを抱き上げて撫でてくれるれいらの顔をぺろぺろと舐める。今日もれいらはいい匂い!! そしてそんなれいらの頭を撫でているらんちゃん。らんちゃんはどんな時でもれいらを見ている。らんちゃんはれいらが大好きで仕方ない。そしてれいらもらんちゃんが大好き。ボクは匂いでわかるんだ。 ・・・ふたりはお互いが大好き。だから本当はボクの入る隙なんてないのかな。だからボクはふたりと一緒に暮らせないのかな。なんだか悲しくなってきたよ・・・。 「?なんか静かになったな」 「ティノ〜?どうしたの?」 急に大人しくなったボクにふたりが心配そうな顔をする。ダメだダメだ!せっかくふたりが会いに来てくれたのに心配なんかかけたくない!! すりすりとれいらに鼻を擦り付けていると元気になったボクを見てれいらも笑顔になってくれた。ボクはれいらの笑顔が大好きだよ! その後は庭でボールで遊んだ。ときわのお家はとても広いからたくさん走り回れて楽しい。走り回って疲れたから少しお昼寝。れいらも眠かったみたいでボクをお腹にのせて一緒に寝たよ。らんちゃんは眠くなかったのかボクらの隣で本を読んでいた。 しばらくしてボクはれいらより先に目が覚めたよ。だって寝すぎるとふたりと過ごす時間が減っちゃうからね。れいらはいつもお寝坊さんだからまだ寝てる。早く起きてまた遊んでくれないかな。 「ん?ティノはもう起きたのか」 目を覚ましたボクに気づいたらんちゃんに抱っこされる。らんちゃんはれいらよりも体がおっきくて温かい。ボクはらんちゃんのことも大好きだよ。やっぱりずっと一緒にいたいな・・・。 「今日はやっぱり元気がないな・・・どっか体調でも悪いのか?」 「わん(違うよらんちゃん、ボクは元気だよ)」 れいらがまだ寝ているからボクもらんちゃんも小さな声でお話。みんなにはボクの声は届かないけど、それでもお話しているんだ。 「ふは、くすぐったいな。まあ、体調が悪いならあんなに元気に走ってないか」 そうだよ!という意味を込めてらんちゃんの顔をぺろぺろ舐める。 「じゃあ・・・さみしいか?」 「!!」 らんちゃんの言葉にびっくりした。らんちゃん、らんちゃんはボクの言葉がわかるの?そう、ボクさみしいんだよ!ここにはみんながいてくれるけど、ボクはもっとれいらとらんちゃんと一緒にいたいんだよ! 「こんだけレイラに懐いてるもんな、そりゃさみしいか」 「わんわん!(れいらだけじゃないよ!ボクはらんちゃんとももっと一緒にいたいよ!)」 「うぉ!どうしたっそんなに舐めるなって」 ボクはボクを最初に見つけてくれたれいらが大好き。そしていつもれいらと一緒にボクと遊んでくれるらんちゃん。今みたいにれいらが寝ている時とかはいつもボクのことを優しく撫でてくれるし、お話もしてくれる。そんならんちゃんのこともボクは大好き。 ねぇ、またふたりと一緒に暮らすことは出来るかな?れいらとらんちゃんがお互いを大好きなように、ボクもふたりが大好きなんだ。ボクも傍にいちゃダメかな? 「ふぁ〜よく寝た〜」 「起きたか」 れいらが起きた。まだ眠そうな顔のままらんちゃんに抱かれたボクを見て優しく微笑む。 「俺ね、夢で嵐ちゃんとティノとまた一緒に暮らしてた」 「!!」 「今は学校もあるし寮じゃ狭いけど、卒業したらまた一緒に暮らそうね」 「!!わんわん!!(ほんと!?また一緒に暮らせるの!?)」 「ははっティノも一緒に暮らしたい〜?もうちょっとだけ待っててね」 「わんわん!(待つ!ボク待ってるよ!!)」 待つというのがどのくらいなのかはわからない。でも、また一緒に暮らそうと言ってくれた、そのことがとても嬉しい。 「またねティノ、また会いに来るからね」 「わんわん!(またね!れいら!らんちゃん!)」 「いつも帰りはしょんぼりしてるのに今日は元気だな」 いつもはふたりが帰っちゃうのがさみしくて仕方なかった。今もさみしいけど、今日はがまん出来る。だって、今はさみしくても、また一緒に暮らせるってことがわかったから!そんな日がまた来るなら、それまでボクはがまんして待つよ!だから早く、その日が来るといいな!

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