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はじめてのおつかい2

その後も何度か周囲に気を取られつつ目的のケーキ屋dadamに到着した三つ子。大人の足で15分の距離を一時間かけての到着だ。 「やっと着いたか・・・」 後ろを追っていた十六弥と各配置にて見守っていた使用人達は、なんとか目的地に到着出来たことに一安心。事前にdadamのスタッフには「くれぐれも寄り道をしないように!」と伝えてもらうように連絡済。帰りまでちんたら寄り道をされたらケーキが腐ってしまう。 「帰りは我々で見守りますので、坊ちゃん達が帰るより先に帰宅ください」 「ああ、頼むわ」 そろそろ打ち合わせに出かけていたカレンも帰宅する時間。三つ子より先に家に居なければならない十六弥は、帰りの見守りは任せ一足先に帰ることにした。 あとはケーキを選んで買って帰るだけ。寄り道をしようものなら仕込んでおいたTOKIWAのスタッフに上手く誘導するように指示は出してある。 「おかえりなさい十六弥」 「ああ、カレンもおかえり」 家に戻るとカレンも帰宅したばかりのようで玄関で鉢合わせた。 「どう?大丈夫そうだった?」 「あんだけ周囲囲ったからな、大丈夫じゃなきゃあいつらは今後自宅監禁だ」 「それもそうね」 行きは一時間かかったが、さて、帰りは何分で帰ってくるだろうか。 「え〜あの時みんなエキストラだったの〜?」 「つか、家からdadamまでで一時間って俺らやばくないか?」 「逆に一時間かけて歩く方が大変だよな」 当時の知らなかった話を聞きつつ不満をもらす10年後の三つ子達。15歳になった今でも相変わらず人気のdadamのケーキを食べつつ十六弥の話に耳を傾ける。 「お前らほっといたら一時間でも辿り着けねぇよ」 結局帰りは40分程かけて帰ってきたらしく、十六弥もカレンもずっと家でそわそわしていたらしい。表にはあまり出さないが、子供たちの事となるとかなりの心配性になるのだ。 そして周りの大人達の心配を他所に冒険から帰ったかのようにやり切った表情の三つ子。彼らにとっては自分達だけでのおつかいは大冒険だったのだろう。 「しかも5個つったのにケーキ15個も買ってきやがって」 誰が一人5個づつ選んでこいって言ったよ。と、呆れ顔の十六弥。三つ子の言い分としては、 みんなの分を選んでたらいっぱい欲しくなった! とのことだった。 「え〜可愛いじゃん俺達〜」 「たくさん種類があると迷うよな」 「全部美味しそうに見えるもんね」 小さい頃のまま楽観的に育った三つ子は失敗談すらキャッキャと楽しそうに笑っている。親の十六弥達からしても子供達の可愛いおつかいデビュー話ではあるのだが。 成長した今でも仲良く三人揃って出かけることが多い三つ子達。これからも協力し合って色々なことに挑戦して欲しいなと十六弥もカレンも願っている。 ちなみに寄り道癖は今でも治っておらず、気がむくままにふらふらと色んな所へと吸い込まれていくらしい。

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