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我が家のクリスマス
「ねぇ、嵐ちゃんちは今もサンタさんくる?」
冬用のモコモコの部屋着に身を包んだ状態でアイラブ嵐ちゃんの膝を枕に転がる。読んでいた本から目を離しこちらを見つめる優しいアンバーの瞳。
「大丈夫だ、レイラのとこには今年もきっと来るぞ」
「いや、流石に俺もうサンタさん信じてないよ?」
何故か今年も良い子にしてたからサンタさん来るぞと言って頭を撫でられたが、流石にサンタの正体は知っているから大丈夫。お気遣い無用だ。
「なんだ、今年もサンタが来るかの心配してたわけじゃないのか」
「嵐ちゃんの中での俺ピュア過ぎない?」
高校生になってそれは、ちょっと危なくないか。いや、別に信じてる人もいるかもしれないけど。否定するつもりは無いけど。
「うちは初等部までだったな。兄貴がいるからか正体に気づいたのは小3くらいで、そっから信じてるふりするのに限界迎えたのが小6」
「ふりって」
まあ嵐ちゃんらしいといえばらしいけど。小さい嵐ちゃんがサンタさんからのプレゼントに喜ぶ姿を想像すると可愛い。というか、小さい嵐ちゃん可愛い。
「レイラんちは?未だにサンタ来てそうだけど」
「いや、うん、来るんだけどさ」
そう、我が家には未だにサンタさんが来る。十六弥くんサンタというやたらとスタイリッシュでワイルドサンタさんが。
トナカイじゃなくバイクに乗って、煙突ではなく玄関から、サンタさんの格好はしているけど190cm超え細マッチョのイケおじ風口髭の十六弥くんサンタ。
「初めはちゃんとサンタさんだったんだけど、最近十六弥くん要素が強くなってきてさ、今年辺りはもう十六弥くんサンタじゃなくて十六弥くんが来そう」
「・・・それはもう十六弥さんがクリスマスにバイクに乗って帰宅しただけじゃないか?」
「そうとも言う」
去年から口髭が無くなった。今年辺りはもうサンタさんのコスチュームではなく赤いスーツとか着てそう。
「俺の中でのサンタさんのイメージがどんどん塗り替えられていく」
「十六弥さんはそれを楽しんでるんだろうな」
今年は今までと違い俺もカエラもサハラも実家を離れ日本にいる。しかしタイミング良く冬休みに入り十六弥くんとカレンちゃんも日本に来るのでクリスマスは一緒に過ごせそうだ。
今年の十六弥くんサンタがどんな姿で登場するのか、ちょっとわくわくする。プレゼントよりもそちらが気になっている時点で、十六弥くんの策略にハマっているのだろう。
出来れば十六弥くんがサンタさんのように本当のおじいちゃんになるまで続けて欲しいなと思う気持ちと、おじいちゃんになってもサンタさんみたいな見た目にはならないだろうなという予想。
「今年は嵐ちゃんのとこにもサンタさん来るといいね」
「俺はレイラサンタでもいいぞ」
嵐ちゃんのためならトナカイも用意して本格的にサンタさんになりきるよ?
クリスマス当日
「Merry X'mas!今年は私よー!」
ふわふわの白いファーのついた赤いワンピースに黒のレースアップのブーツ。プレゼントが入っているだろう白い布を担いだ可愛すぎるサンタさんの登場に、ソファーに転がっていた俺とカエラとサハラは一斉に起き上がる。
「えぇー!!カレンちゃんサンタ可愛いーー!!!」
「サンタさん最高!!」
「いいクリスマスだな」
テンションが上がりカレンちゃんサンタを囲んではしゃぐ。
「おいこら、俺の時より反応いいじゃねぇか」
「・・・あいつらカレンさん第一主義ですから」
納得いかねぇと若干拗ね気味の十六弥くんと、フォローに困る昨晩から泊まっていた嵐ちゃん。
十六弥くんサンタもカレンちゃんサンタもどちらも大好きだ。
「さあさあ、良い子のみんなにプレゼントよ!」
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