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役得ってやつですね! 微※鷹×レイラ
「ふぁ〜・・・生徒会室行くかぁ〜」
午後の授業が終わりギリギリで眠さに耐えていた目を擦りながら荷物を纏める。三年生が卒業し最高学年となり、生徒会長としての仕事にも慣れてきた。夏休みまで残り二週間を切り、つい先日期末テストを終えた生徒達が浮かれ気味の中、生徒会には休み前の細かな仕事が残っている。
「眠そうだな」
「さっきの授業はやばかったー、最近寝不足なんだよね」
また大きな欠伸をした後、ぐーっと体を伸ばし立ち上がったレイラ。相変わらずほとんど手ぶらでスマホとカードケースをポケットに突っ込み身支度終了。
「シャキッとしろよ生徒会長」
「生徒会頑張ってねレイラ君!」
「はぁーい。要、凌また明日〜」
ひらひらと手を振り教室を出て行く後ろ姿は、転入してきた頃よりも一回り大きく、寝不足のせいか気怠い雰囲気に妙な色気が溢れている。
「つか、あいつここ最近妙に色っぽくないか?」
「要も思った!?いつも色気出てるけど最近のレイラ君ちょっとヤバいよね!?あんなピンクのオーラ振り撒いて校内歩いて大丈夫かな・・・」
いつも一緒にいる二人ですら気になる程の色気。恋人の嵐太郎が卒業する前は、前日にナニをしていたのかモロバレな程、気怠げに色気を振り撒く日が頻繁にあった。が、嵐太郎が卒業してからは、当たり前だがそういったことは無かったというのにどうしたというのか。
「とりあえず、変な被害が出る前に袋でも被せて隔離した方が良くねぇか?」
「・・・美味しい展開は大歓迎だけどレイラ君には結城先輩がいるもんね」
そんなことを教室で話されている頃、レイラはまた欠伸をしながらゆっくりと生徒会室に向かっていた。途中何人もの生徒に話しかけられつつ歩くが、三年になり学食や寮が近い教室になった反面生徒会室が遠くなった。職員室に用があるというケイとは別々に教室を出た為、何だか今日はいつも以上に遠く感じる。
「おつかれ〜」
やっと辿り着いた生徒会室では既に二年生の三人がいた。
「レイラ君!!!!」
「え、うるさ」
目のあった真斗と渚くんが挨拶を返す前に鷹の大き過ぎる声に眉を顰める。鷹の騒がしさは二年になっても変わらずだが、今日は一体どうしたのか。
「もうなんなんですか!ここ最近校内レイラ君の話題で持ち切りですよ!!」
「はぁ?なんだよそれ。俺最近何もやらかして無いけど」
体育祭や文化祭の後は色々と話題になりがちだが、ここ最近は人前に出て何かした訳でもないし、校内で噂されるようなことをした記憶も無い。元々ファンクラブの人数も学園内でダントツの一位である為、注目はされているがそういったことではなさそうである。
「いや、俺もちょっと気になってたんだけど」
「俺も」
近距離で詰め寄ってくる鷹を引き離そうとしていると真斗と渚にまでそう言われ、レイラは何か思い当たる節がないか考えるが、やはり心当たりが無い。
「というか、まずなんて言われてるの俺」
「色気ですよ色気!お色気ムンムン、エロ過ぎって言われてんですよ!!」
「なんだよそれ」
鷹の言葉にレイラは怪訝な顔をする。確かに底を知らない成長期と共に色気も出てきたなと自分でも自覚はしている。が、それは今に始まったことでもないはず。そんなに急に校内で噂されるものだろうか。
なんなら普段から好き好きアピールの激しい鷹が言うならわかる。だが真斗や渚までとなると、本当に普段と違うのだろう。
「そんなに?」
「うん、なんか十六弥さん並に色気振りまいてる」
「それはやばい」
父親である十六弥の色気は子供ながらに半端なものでは無いと常々レイラは思っている。同じ空間にいるだけでも妊娠するとまで言われるエロテロリストである十六弥並とは、それはかなりやばい。
「俺にはわかりますよ!レイラ君今欲求不満でしょ!!」
鷹がビシッと指を立てて自信満々に言い放つ。そのドヤ顔が何だかムカつき、その指をぐぃーっと逆に曲げる。
「痛い痛い痛い!!!」
「まあ欲求不満ってか、溜まってるのは確かだけど」
「やっぱり!って、痛いって!!力込めないでっ!!」
恋人である嵐太郎が卒業してからもうすぐ三ヶ月。最後に嵐太郎とセックスをしてから約二ヶ月。勿論浮気なんてするつもりはないが、健康な男として溜まるものは溜まる。しかし元々一人でする習慣が無かったうえに、嵐太郎と付き合い始めてからというもの、週に三回はセックスをしていた。
薄かった性欲をバッチリ育てられた上での禁欲生活。溜まるものは勿論溜まる。
「欲求不満に決まってるだろ嵐ちゃん連れてこいよ」
「そんな無茶な・・・」
俺が!!とアピールしてくる鷹をスルーして真斗が苦笑いする。
「つか鷹のせいで思い出したけど、俺多分三週間くらい一人でもやってないわ」
「いや、それちょっと体に悪くね?」
「最近夜になるとモヤモヤした感じで寝付き悪かったのそのせいか」
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