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第一章・12
ぐぐっ、と指より太いものが、体内に捻じ込まれてくる。
「んうぅッ!」
「痛い? ごめんね~。痛い?」
きゅうッ、と締め付けてくる後膣。
ジンガラは、できるだけゆっくりゆっくり腰を進めた。まずは、全部ハメてしまうことだ。
「んあッ、あぁあ!」
「挿入ってるよ~。もうすぐ、全部挿入っちゃうからね~」
なだめるように、声をかける。
パッサカリアの内は狭く、ぐいぐい締め付けては来るが、時折飲み込むように内壁が蠕動する。
そのたびに、魂まで吸い取られそうな感覚に陥る。
「うゎ、やべえ。すっごい名器」
ようやく全部挿れ終え、一息ついた。
顔を背け、歯を食いしばり震える可愛い人。
肌を合わせて頬ずりすると、これまで感じたことのないような一体感を覚えた。
滑らかな肌は吸いつくように手になじみ、その腰はまるでサイズを合わせたかのように腕に収まる。
ジンガラは、思わずごくりと生唾を呑んでいた。
「動くよ……いくよ?」
ずずずっ、と引き抜くと、内壁が行くなと絡みついてくる。
強すぎず、弱すぎず、締め付けてくる。
「うおぉ、すげえ。すげえ!」
「んッく。んんぅ」
ぎりぎりまで引き抜いたところで、もう一度一呼吸置いた。
内股を撫で、腰を撫で、力を抜くよう促してやる。
「力抜いて。そしたら、すっごく気持ち悦くなるから」
そんなバカな、とパッサカリアは思った。
痛くて苦しい。涙がにじんでくる。
これが気持ち悦くなるなんて、絶対にありえない!
しかし、挿れたり抜いたりを繰り返されるうちに、心の奥底から熱い何かが湧き上がってくる。
体は熱く火照り、震えが這い上がってくる。
あ、まただ……。
ライブの時に感じた、彼の持つ魔術。
人を惹きつけてやまない、奇妙な力。
これが無言で犯されるだけなら、この心の中には嫌悪しかないはず。
だけど、彼のおしゃべりを。
彼の声を聞いていると、何か気持ちが捉えられる。
この心が、囚われる。
私のものとは異質な、だが確かな魔術を彼は持っている。
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