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第一章・14
「ハァ、ハァ、はッ、っはは♪」
獣じみた荒い息を吐きながら、ジンガラもまたこれまで感じたことのないような快楽をむさぼっていた。
「いくよ。出しちゃうよ。あぁ、生で出してぇ~。くそッ!」
さすがにスキンは付けているのだ。
不特定多数の人間と交わるジンガラにとっては、感染症防止のための絶対のルールだった。
だが、今この時に関してだけはそれが煩わしかった。
この子の内に、思いっきり出したい。
内を俺のものでたっぷり満たしたいという、異様な独占欲があった。
「あぁあ、ジンガラぁあ!」
パッサカリアの絶頂の声を聞きながら、ジンガラも熱い滾りを吐きだしていた。
ぐったりと力の抜けた白い肢体。
胸は大きく上下し、はぁはぁと呼吸が荒い。
うつろに開いた目のまま、パッサカリアはジンガラに体を任せて、下肢に流れた自らの精液を拭き取ってもらっていた。
「悦かった?」
罪のない、笑顔。
「……」
黙って、体を起こした。
そのまま衣服を整え、重い体を必死で動かして立ち上がった。
ふらり、とドアから出ていくパッサカリアに、ジンガラは慌てて声をかけた。
「おい、大丈夫か? 送っていくぜ」
返事はせずに、ただ首を横に振った。
もう、二度と会うこともあるまい。
熱い夜は、終わった。
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