18 / 104
第一章・18
「父上、私はフォルツァの元へ参ります」
「パッサカリア!」
小さな国の国王は、愛しい我が子を抱きしめ涙をこぼした。
手放したくない。申し訳ない。でも、どうすることもできない。
(私が我慢さえすれば、丸く収まること)
昨日だって、我慢できた。
今度はその相手がフォルツァになるだけのことだ。
(すでに私は汚れているのだ)
それでよかったら、この体自由にするがいい。
涙を流し身を震わせる父の背を、撫でた。
いつの間に、こんなに小さくなってしまったのか。
この小さな人を、苦しめるわけにはいかない。
この小さな国を、戦火で焼くわけにはいかない。
その日から、パッサカリアは笑わなくなった。
唇をかみ締め、自らの運命を耐えた。
ともだちにシェアしよう!