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第一章・21

 柔らかな羽根布団に、芳しい香の匂い。  天蓋付きの豪奢なベッドは、あの時の硬いソファの何千倍も心地いいはずなのに、パッサカリアは一言も声を漏らさずフォルツァに揺さぶられていた。  ブラヴラ王国に着いたその日の晩のうちに、フォルツァはパッサカリアを求めてきた。  ようやく手に入れた美しい供物。  心ゆくまで味わうつもりだったが、まるで人形を抱いているようだ。 「どうした? なぜ声を出さん。気持ち悦くはないのか」 「フォルツァ様のお情けをいただく光栄に、声も出ないのでございます」 「ふん。心にもないことを」  ぐいぃッ、とフォルツァのものが体の奥深くまで突き上げられてきた。 「うっ……」  ただ、痛くて苦しくて気持ちが悪い。  あの時、ジンガラに同じ事をされた時は、どんどん体が熱くなっていったというのに。  ただ、耐えた。  歯を食いしばり、涙をにじませ、シーツを掴みしめて耐えた。  そんな地獄の日々が、毎日のように続いた。  思い通りにいかないパッサカリアに、フォルツァは暴力を振るうことで鬱憤を晴らすようになった。  殴られ、蹴られ、踏みにじられても、パッサカリアは声ひとつあげなかった。

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