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第二章・2
今日、最後の客にこんな扱いにくそうな人がくるなんて!
青年は、緊張した心地でこわばった笑顔を作った。
ケースに並べられた色とりどりのアイスを、にこりともせずに物色する男。
青年は、期間限定のフレーバーを小さなスプーンにすくうと、震える手で男に差し出した。
「こちら、新製品のレモンマスカルポーネチーズケーキです。よろしかったらどうぞ」
「おぅ」
男は意外なほど素直に、ぱくりとアイスを舐めた。
スプーンまで齧ってしまうんじゃあないかと恐れる青年にやはりにこりともせず、男は注文を始めた。
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