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第二章・3
「じゃあ、ダブル二つ作ってくれ。ベリーベリーストロベリーとラブポーション。それからロッキーロードとジャモカアーモンドファッジ」
「かしこまりました。先にお会計をお願いします」
「ぅん」
レジを済ませ席に座って待つ男が、遅いと言って暴れださないように青年は手早く注文の品を作った。
小さいと言って暴れださないように、少しだけサービスして大きく作った。
「お待たせいたしました」
「ありがとうよ」
意外な返事に、青年は目を丸くして男の背中を見送った。
「ありがとうございました!」
ああ見えて、実はいい人なのかもしれない。
それに、ストロベリーとラブポーションのダブルなんて、ちょっとかわいらしいチョイスだ。
あれは多分、恋人が外で待っていて、彼女にねだられてアイスを買いにきたに違いない。
そう考えると、青年は何だか微笑ましい気分になって表に出てみた。
だが男の姿は、もうどこにも見えなかった。
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