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第二章・14

 最後のお客様が帰ってから、40分ほど経っている。    もう夜も遅いし、そろそろ閉店の準備をするかな、と青年はアイスクリームディッシャーを手に取った。  と、その時ドアが開いてウェルカム・ベルの音が鳴った。 「いらっしゃいま……せ」  語尾がつい小さくなったのは、その入ってきた客の風貌に見覚えがあったからだ。  あの時のお客様!  そう、そのいかつい姿に似合わず、ベリーベリーストロベリーとラブポーションのダブルを買って帰ったお客様。  そして青年は、もう一人その男の後ろから付いて入ってきた美貌の麗人にぽかぁんと口を開けた。  なッ、なんて綺麗な人!  まさかまさかまさか、あの人がお客様の恋人!?   あのストロベリーとラブポーションのアイスを食べたお相手!?  美しい撒き毛。その髪で顔の半分がやや隠されていることが、一層ミステリアスな雰囲気を醸している。  すらりと長い手足に、透き通るような肌。    あぁ、この薄紅の美しい唇で、俺の作ったアイスを食べてくれると思うと……。

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