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第三章 遊園地輪舞曲
美しく広がる草原。
ところどころに色とりどりの花々が見え隠れし、緑に彩りを添えている。
そんな中、ブラヴラ王国の国王フォルツァは愛馬・サクラショウリ号に跨り、風に髪をなぶらせていた。
ゆるゆると馬の歩みを進めていると、行く手にひとつの人影が。
あれはまさか。
あの後ろ姿は!
「パッサカリア!」
フォルツァは愛馬の鞍から降りると、腕を伸ばして走り始めた。
ざわざわと鳴る草に気づいたのか、人影はこちらを向いた。
果たして、その顔はパッサカリア。
アラルガンド王国からやってきた、愛しい私の可憐な花。
そしてある日を境に、突然目の前から消えてしまった私の可愛い小鳥。
パッサカリアはフォルツァの姿を認めると、にっこり微笑み駆け出した。
「まッ、待て。パッサカリア!」
「ふふふ♪ 捕まえてごらんなさ~い」
「待てよ~♪ パッサカリア~」
互いに笑い合いながら、楽しい鬼ごっこが始まった。
あと少し、もう一息というところで、するりと腕から逃げてしまうパッサカリア。
フォルツァはとうとう、体全体で大きく飛び跳ね、パッサカリアに後ろからしっかりと抱きついた。
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