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第三章・5
「お許しください、それだけは! 何でもいたします。ですから、私の国だけは!」
「パッサカリア!? しっかりしろ!」
夜明け前、それまですやすや眠っていたパッサカリアが、突然うなされ始めた。
隣で寝ていたジンガラにすがりつき、力任せにパジャマを下げてくる。
「や!? ちょ、パッサカリア!? いやん♪ エッチ~」
ジンガラのペニスにむしゃぶりついてくる、パッサカリア。
口でしてもらったことがまだないジンガラには非常に嬉しくありがたい寝ぼけ方ではあるが、そのパッサカリアの夢うつつの中にフォルツァがいるとなると話は別だ。
頬を軽く叩いて、目が覚めるように必死で促した。
「起きろ、パッサカリア!」
「う……あ?」
ぼんやりと、パッサカリアに意識が戻ってきた。
眼の前には、見慣れた優しい顔がある。
あの恐ろしい男ではない。
安堵したその時、半勃ちになったジンガラの分身が眼に入ってきた。
「よさないか、いやらしい!」
「そりゃないでしょ~?」
パッサカリアちゃんの方から襲ってきたんだから、とジンガラがそのまま体に被さってきた。
「や。ちょっと、待っ……」
体をまさぐられながら、パッサカリアは夢を思い出していた。
フォルツァに、脅される夢を見ていたのだ。
実際に、脅され続けていた。
お前の国に攻め込むぞ、と何度も何度も脅された。
そして、必死になる自分を見ては、悦に入っていたのだ、あの男は。
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