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第三章・10
「世間一般ではね、楽しいらしいよ」
「では、行ってみようかな」
すでに王室とは縁を切ったのだ。
これから、もっともっと庶民の暮らしになじまなくてはならない。
遊び、というより社会勉強の気分で、パッサカリアは遊園地へ行くことにした。
「行こ行こ、遊園地♪」
遊園地なら、こないだ買ったチュニックとスキニー着てみせてよ、などと自分がオシャレをするかのごとくジンガラが注文を付けてきた。
「何だか嬉しそうだね」
「嬉しいですよ~♪ 初・遊園地デートですから」
いそいそと、ジンガラもパッサカリアも、外出の準備を始めた。
待つこと、約1時間。
イライラを募らせ、爆発寸前のフォルツァにまるで餌を使ってなだめるかのように、侍従は小出しにパッサカリアの盗撮写真を与え、なんとかその場をやり過ごした。
「陛下、参りましたぞ!」
「何ィ!?」
ついに、二人がマンションから出てきた。
ゆるやかなチュニックから、スキニーパンツのすらりと形の良い脚が伸びているパッサカリアの姿は変わらず美しい。
「おぉ、パッサカリア♪」
だがしかし。
その隣には、タンクトップにバギージーンズという小汚い格好のジンガラがぴったり寄り添っている。
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